シン·ゴジラ
「シン·ゴジラ」。
久方ぶりのゴジラの新作である。
監督は庵野秀明、そして樋口シンジ。
まさか、彼らがゴジラを創る日が来るとは.....
これは正直、期待半分、不安半分である。
僕は、「庵野秀明」という人の才能をとてつもなく評価している。
破格の才能の持ち主だと思う。
僕も、今でこそ偽サラリ―マンに落ち着いているが、いずれはクリエイティヴな仕事で一旗あげてやろうと画策しているモノである。
そんな時に、デカデカと立ちはだかる巨大な壁である。
僕はあんまり他人の事を「すごいなぁ!」とは思わないし、「この程度なら僕にでも....」なんて、まことに不遜な態度で居るのであるが、この「庵野秀明」という人と、あと、「松本人志」という人には一目置いている。
でもあまりに年齢が上過ぎるし、もう老いていくお爺ちゃんみたいにしか思えない。
その意味で、「庵野秀明」と「松本人志」の両名には、全盛期を過ぎたというむきはあるものの、まだオモシロイ事をしてくれるんじゃないかと思える人達であるのだ。
で、「シン·ゴジラ」である。
まさにド直球の庵野節全開の題名にまず笑う。
しかし、こちとら、ゴジラは子どもの頃からの大ファンなのである。
いくら庵野秀明の作品と云えども、容赦なく批評させてもらうつもりだ。
僕が一番好きなゴジラ映画は、「ゴジラvsビオランテ」である。
これを超えるゴジラ映画はいまのところ、ない。
あくまで僕個人の見解ですのであしからず。
この映画の素晴らしさは何といっても「美しい」所である。
こんな美しい怪獣映画もない。
映画全体の雰囲気、登場人物、物語、ゴジラのフォルム、ビオランテの造形、BGM、編集.....
すべてが文句なしである。
これ以上、何が要る?
勿論、完璧とは云わない。
ご都合主義的展開や、不可解なセリフ、キャラの破綻など、矛盾点はちらちらと見える。
しかし、そんな欠点が些細な事に思えてしまうほど、兎に角「美しい」。
技術的に特筆すべき点は、なんといっても「編集」のウマさである。
この映画は編集が上手すぎる。
いくらゴジラ映画と云えども、怪獣映画などしょせん途中で中だるみするのは免れない。
.....のだが、この映画はほとんど中だるみらしい中だるみが、ない。
様々な要素を畳み掛けるように連発し続けるような展開で最後まで引っ張るからだろう。
まぁ、要素があり過ぎるせいで、ゴジラの初心者、怪獣映画初心者にとっては「難解な映画」などと評価を受ける事もある本作。
確かに僕も子どもの頃、初見ではとてもじゃないが全貌は掴めなかったし、多くの事の意味はわからなかった。
それこそ、いい大人になってからようやっと意味を理解出来た要素もある。
しかし、だからなんだってんだ。
この映画の素晴らしさは変わらない。
僕はゴジラ映画は3作品くらいのぞいてほとんど制覇している。
しかし、残念ながらこの「vsビオランテ」を超すゴジラ映画には出会えていない。
金子監督による平成のガメラはある意味で凄まじい出来だったが、こんな事云うと元も子もないが、僕はガメラよりゴジラのほうが好きである(笑)
でも、それでも「ガメラ3 イリス覚醒」はなかなかだったと思う。
しかし、僕はゴジラの新たなる傑作を期待し続けているのである。
あ、云っておきますが、ハリウッドのヤツは論外ですんでね。
「何、あれ」。
しか、感想が浮かばなかった。
頼むよ、ホント。2014もダメダメ。
矢張、ゴジラは日本人にしか創れないんだな、と確信した瞬間でした。
「だから、ゴジラを巨大恐竜にするのはいい加減にやめなさい!!」という。
ゴジラはね、圧倒的な恐怖の対象でもあるんだけど、きちんと感情のある生物なんだ。
人間みたいな擬人化したゴジラを描け、とは云わない。それはまたそれでダメである。
(昭和のゴジラは吹き出し付きで話したりした。あれを見て終わったと思った)
しかし、ゴジラのもっている哀愁、切なさ、怒り、憂い.....そういうモノを映像と良質なシナリオで嫌味なく表現してもらいたい。
それこそが、日本的なゴジラだし、日本人にしか創れないゴジラなのだから。
頼むからゴジラをただの恐竜や、ただのパニックの対象としてだけ描くのはやめてほしい。
そもそも、覚えていますか?
ゴジラは水爆実験から生まれた怪獣。
原爆や原子力などにNOを訴えるようなメッセ―ジを背負わされた怪獣だという事を。
そこをピックアップしないと、ゴジラの意義は無いのですよ。