ミスチル 「BOLERO」考察2
ミスチルの「BOLERO」の考察の続きである。
前回の続きです。
前回は、アルバムの背景にあったバンドの状態やら裏事情的なモノを語り過ぎたせいで、長くなり過ぎてしまったので、2回に分けました。
お待ちかね(待ってないか(笑))曲の考察に入ります。
1 prologue
..........インストですね。小林武史が創ったんでしょう。ラヴェルのボレロのリズムなんぞも取り入れつつ、オ―ケストラもふんだんに使い、次曲へ繋ぎます。
まぁ、でもそんな完成度は高くないかなぁ。
短いし、なんか中途半端だ。
2 Everything (It's you)
..........う―む、お見事。
まるでロキノン系のお手本の様な曲ですな(笑)
歌詞も複雑さが一切ないのに、シンプルに誰でも共感出来る事をバシッと無駄なく歌っている。
メロディもややUKな匂いを隠し味に使いながら、退屈にならない様な工夫が随所に見られる。
サビの韻の踏む展開も桜井和寿の得意技。
「ステ―――――イ」
「あるとして―――――」
「古い荷物を捨て―――――」
「好きなようにして―――――」
と、ウマイこと畳み掛ける。天才や。
ソツがない、ホント、青春系の曲のお手本みたいな曲。
ゆずやコブクロも少し見習うがいい(笑)
スガシカオは「終わりなき旅」を参考にして、「progress」を創ったぞい。
3 タイムマシ―ンに乗って
..........勿論、「Tomorrow Never Knows」や「Everything ( It ' s you) 」の様な曲を創れるのもスゴいのだが、僕はこの「タイムマシ―ンに乗って」のような曲を創れる能力をスゴいと思う。
こういうのは普通は創れない。
特にギター片手に曲創りにはげむロックミュ―ジシャンにはムリだ。
こういう曲は、職業作曲家が創りそうな曲である。
僕はこれを聴いて「筒美京平」を思い出したが、詰まり、日本の「歌謡曲の文化」とは、洋楽のエッセンスをウマく取り入れて、メロディやアレンジを日本人好みにしていく、もしくは日本人が歌いやすいモノに換骨奪胎していく作業なのである。
そういう意味では桜井和寿とは、普通のロックミュ―ジシャンと云うより、職業作曲家的な側面をかなりもっている、非常に勉強家であり、そのセンスが抜群な人と云えよう。
こういうのに優れている他のア―ティストと云えば、僕はすぐフリッパ―ズギターの「小山田圭吾」を思いついた。
勿論、「小沢健二」もそのセンスはあるが、小山田のほうに軍配はあがると思う。
なぜか世間はそんなに「小山田圭吾」のメロディメ―カ―の部分を評価しないが、僕は常々それを不思議に思っている。
それを味わいたいなら、フリッパ―ズの3rd、「ヘッド博士の世界塔」や、コ―ネリアス時代の2nd、「69/96」などを聴いてみてほしい。
.........と、ミスチルから脱線してしまった(笑)
この曲、実は、前作「深海」の「Making Songs」という曲?.....というかデモの寄せ集めみたいな短い曲の中に、一瞬だけ登場している。
まぁ、これはよく知られているかな?
「わずかなマネーで誰かの猿マネー」の歌詞がイカしてる。
4 Brandnew my lover
.........SMな曲(笑)
エロス爆発! この頃のミスチルにしかない貴重な、エロに振り切った曲だ。
この頃のB面に「デルモ」なんて曲もあるが、それらから想定するに、矢張、「Brandnew my lover 」とは「吉野美佳」という可能性は高い(笑)
まるで「失楽園」の世界である。
ここら辺のパ―ソナルな感じの歌は、「深海」収録の「虜」とかもそうなのか?!(笑)
「デルモ」「虜」「Brandnew my lover」とひと続きの物語だとして、桜井と吉野のノンフィクションやったら、結構エグいぜ、桜井さん(笑)
まぁ、世間じゃありがちな話だが.......
曲に関しては、アレンジがちょっと過剰すぎてウザったいが、なかなかカッコイイ曲ではある。
5 [es] ~Theme of es~
..........う―む。いい歌詞、いいメロディ。
文句なく極上の曲なのだが、なにぶんこれだけ名曲を連発されると、名曲のインフレが起きていて、何だか物足りない気がするのは、もう僕の感覚が狂ってるだけである。
ミスチル主演、小林武史監督で、1995年に公開された映画の主題歌である。
映画の中では、ピアノを弾きながら、桜井がこの曲のデモを録るシ―ンがあるが、ファンは「いいわぁ―」とか思うのだろうが、ちょっとナルシスティックですよ(笑)
アウトロは突然、キングクリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」のメロディが出てきて〆られる。
完全に小林武史の趣味だ。
6 シ―ソ―ゲ―ム ~勇敢な恋の歌~
..........本当に、どんだけ名曲を創れば気が済むんだ?(笑) という程、これも文句の付けようのない名曲。
なんだ、この神がかったメロディは?
メロディを上下に激しくギザギザさせてフックを創っていくのはUKロックというか、ビ―トルズの得意とする所であり、桜井和寿はそのセンスを完全にモノにしている......というか、そもそもはじめからもって居たのかも知れない。
こんなのは努力ではどうにもならん気がする。
PVはエルヴィスコステロの「Pump It Up」のパクリ。
でもこれは確信犯。
大体、桜井の声がコステロに似ている率、高し。
この曲は、アウトロのメロディ.....というか、終わり方がメチャカッコイイ!
12弦ギターの音色が最高の仕事してるんすよ。
12弦ギターの音って、ほんと「サイケ」「青春」「切なさ」みたいなモノを同時に再現出来る、すぐれた楽器ですよねぇ~~。
結局、ビ―トルズかっ!て話なんですがね(笑)
7 傘の下の君に告ぐ
........社会批判と皮肉の曲。
なんか、ラッドウィンプスを思い出したのだが(笑)....
「深海」に入っていてもオカシクない、前作路線の延長にある曲ですな。
..................
しまった!
今回も長すぎて収まらんかった(笑)
曲の考察の後半、パ―ト3へ載せます。