ミスチル 「BOLERO」考察3
ミスチルのアルバム、「BOLERO」の曲の考察の最終回です。
8 ALIVE
..........当事、桜井がこのアルバムを発表した時に、「この曲が、僕らの今一番云いたい事が表現出来てる曲」と云っていた。
完成度はとても高い。
打ち込みのリズムと、生ドラムが途中から加わってパワーアップしたり、終盤のギターも前面には出てこないが、よく聴くとメチャメチャカッコイイ。
くぐもった感じの質感のベ―スも、切なさやヤルセなさを演出するのに一役買ってる。
メロディもとてもイイ。
Bzの松本孝弘がほめていたのを思い出す。
中間の「う―――う―う―――」とスキャットっぽい部分のメロディは、U2の「Angel of harlem」が元ネタ。
このアルバムの核となる曲である。
9 幸せのカテゴリ―
.........「Atomic Heart」収録の「クラスメイト」に何だか似てます。
でも、いいメロディ。癒されるし、適度な切なさ。
エスニック風味のアレンジもイカしててグッジョブ!
箸休め的な曲かな。
10 everybody goes ~秩序のない現代にドロップキック~
.........大好きな曲!
カラオケ行ったら絶対歌ってしまう(笑)
早口で皮肉を次々とまくしたてるのだが、歌っていてメチャメチャ気持ちイイ。
歌詞も一級品。
小林武史のアレンジも天才的。
ホントにヤバイ完成度の曲。天晴れ!
当初は「Tomorrow Never Knows」のB面になる筈だったらしいが、桜井がむしろ創っている間にA面より愛着がわいてきて、急きょ単独でシングル発売された。
そりゃ正しい!この曲がB面なんてもったいなさすぎる!
でも、この曲がB面に収録されてたら、シングルの売り上げはもっと伸びたかもね。記録作るか、稼ぐか。ミスチルは後者を選びました。
僕がミスチルの曲で一番好きな曲の一つ。
(これと「光の射す方へ」が同着一位です)
11 ボレロ
..........クラシックの有名曲「ボレロ」のメロディを一部流用し、しかし、桜井流の独特の世界観を創りあげている。
この曲は、歌詞が好き。
あけっぴろげで大胆で、子どもの様な自由な感性が、聴く人によっては「幼稚」と感じるかも知れないが、僕は好きだなぁ。
..............そして最後の最後で最強の曲が配置されている。
まったく、どうなってんだ(笑) 名曲祭かっ!
題名は勿論、ビ―トルズのサイケな名曲からの引用。
これは、桜井和寿と小林武史とのタッグが生み出した名曲である。
「Atomic Heart」期は、小林武史がコ―ド進行や、曲の雰囲気だけを提示して、それを元に桜井がメロディを創る、というやり方で多くの曲創りが成された。
それによって、例えば、「Dance Dance Dance 」や「雨のち晴れ」などが生まれた。
ああいう曲は桜井単独では創れなかっただろう。
そして、「Atomic Heart」の革新的だった所は、典型的なロックバンドでありながらも、あの時代に、ああいった曲を何曲も提示できた事だろう。
それによって、同世代の似たような青春系バンドに大きく水をあける事に成功したのだと思う。
「Tomorrow Never Knows」もそんな曲の一つだ。
名古屋のホテルにて。
ネタ切れになって悩んでいた桜井に、小林はあるコ―ド進行を提示する。
それは、シンディ―ロ―パ―の名曲、「Time After Time」のコ―ド進行であった。
と、いうか、この進行、ヒット曲によ―く使われる「黄金進行」とかいうヤツなんですがね。
で、小林がピアノでその進行を弾きはじめると、桜井はそれと共鳴する様にすぐにメロディを思い付き、結局、メロディをはじめ、曲の大枠はものの30分で完成してしまったという。
なんか、奇跡っぽい美談になっているが、皆さんお気付きだろうか?
この曲のAメロ、いわゆる、「とどまる事を知らない~」のメロディは、「Time After Time」にもあるのである。
サビの直前のメロディである。
小林武史は、コ―ド進行を提示しただけで、「Time After Time」の事については桜井にその時伝えていない様だから、単なる偶然なのだろうが.......
まぁ、細かい事は気にしない事にしよう。
何を云ったって、この曲が超名曲なのには変わりないのだから。
小林武史が創りあげたイントロも絶品。
かなりどうでもイイ話なのだが、ほぼ同時期に、マイラバの「Hello,Again~昔からある場所~」という曲があるのだが、小林武史も作曲に関わっている。
曲の発売としてはこの曲が後発なんですが、ほんの一部メロディが同じ部分があるんですよね。
歌詞でいうと、
「わかりあえた友の―」って所のメロ。
「君は少し泣いた―」って所のメロと同じですね。
.......ん?少し違うか(笑) ご愛嬌。
や―、しっかし、この頃のミスチルはビ―トルズと並べても見劣りしないな。(云い過ぎか?(笑)
......兎に角、改めて聴いてもまぁ、完成度の高い事高い事。
しいて云えば、名曲祭になっていて、メリハリがついてない(非常に贅沢な悩みである)
ス―パ―スタ―ばかり集めたら、のっぺりした、みたいなアルバムである。でも名盤なのは間違いない。
しっかし、アルバムのジャケット。
ヒマワリ畑に女の子。
明るいイメ―ジの筈なのに、なぜこんなに「死の香り」がするんだろう?(完全に僕の気のせい?)
僕にはヒマワリが時々、彼岸花に見えるよ(笑)